研修医体験記10月
2020年12月9日
2020年10月の研修医体験記
2020年10月は自治医科大学附属病院と永寿総合病院からそれぞれ1名ずつ計2名の初期研修医2年目の医師が当院で地域医療研修を行いました。お二人とも地域の生活環境にも職場にもすぐに適応された様子で、前向きに診療に取り組んでいただきました。プライマリケアや訪問診療など地域ならではの医療に携わると同時に、休日は秋の知床の大自然を楽しんでいただけたことと思います。
お二人からいただいた研修のご感想を紹介いたします。
まずは自治医科大学附属病院の研修医の先生から頂いたご感想です。
「この度は合地先生、石岡先生をはじめ、病院スタッフの方々に支えられ、勉強させていただきつつ、なんとか研修医の責務を全うできたと考えています。1ヶ月間大変お世話になりました。
斜里国民健康保険病院を地域研修先に選択した理由は、なるべく関東地方から離れたところで、へき地医療(というと失礼にあたりますがご容赦ください)に近い診療を経験したかった、そして“知床“というワードに惹かれたからです。
研修をさせてもらい、まず初めに感じたことは紙カルテから情報をさらうことが大変だったことです。まさか研修当日が電子カルテへの完全移行日だとは思いませんでした。ただ、医療の歴史に触れた感じがし、振り返ればこれもまた貴重な体験でした。素晴らしいと感じたことは驚くべきほど診療体制が整っていたということです。さらには訪問診療、学校検診、産業医の仕事までされており、地域密着型の医療を実感することができました。へき地医療は患者様を診るだけ診て、いい加減になりがちなことが少なからずありますが、ここ斜里国民健康保険病院ではそんなことは全くありませんでした。合地先生を中心に病院スタッフの方々が専門分野に関係なく、全力で診療に取り組んできた努力の賜物なのだと強く感じました。他に良かった点は各部門間の垣根が低く、相談しやすい環境にあったことです。「こんなしょうもないこと聞いてもいいのか」と思いましたが、親切に対応してくださいました。また、コメディカルの方々が各々考えて診療されていたことです。大学の体質なのかアセスメント・プランが医者任せになる機会が多いなか、自ら責任を持って診療されていて指導をいただく場面もあり、多くを学ばせていただきました。
特に勉強させてもらったことは当直でした。医療資源が限られているため、わざわざ検査技師さんを呼んで血液検査等をすべきなのか、あくまで緊急性はないため、患者様に翌日の日中に来て検査を受けていただくことでよいのか、高次医療機関に搬送すべきかの判断などに悩まされ、貴重な体験になりました。また、大学ではみることのないフレイルなどでのリハビリ入院を担当させてもらったり、100歳近い元気な患者様を診させてもらったり、逆に天寿を全うされる方のお看取りをする場面もありました。
休日はインドア派でアクティブではなかったですが、少なくとも知床八景と海の幸を堪能しました。なんとかヒグマの親子を観ることができたこと、その辺にエゾシカやキタキツネが出没して何度が車で轢きかけたことは良い思い出です。
最後に改めて、斜里国民健康保険病院のスタッフの方々、そして知床の皆様にお礼を述べさせていただきたいと思います。1ヶ月間、本当にありがとうございました。」
次は永寿総合病院の研修医の先生から頂いた研修のご感想です。
「この度は斜里町国民健康保険病院にて、一ヶ月間の地域医療研修を受けさせて頂きました。短い期間ではありましたが診療面でも今後のキャリアを考えていく上で貴重な経験になりました。
診療面ではcommon diseaseを中心に内科疾患も外科疾患も診させて頂きました。普段研修している病院よりも、自分で治療方針を考え実践する機会をたくさんいただけました。また治療するだけでなく、患者さんそれぞれの病状、家庭環境に合わせて家族と相談し最善の退院経路を見出していくことの重要性を再確認し地域医療の魅力を感じました。
将来的に地域の病院で貢献したいと考えており、実際に斜里町で一ヶ月生活させていただいて町民の方の温かさや雄大な自然に感銘を受け、一層その想いが強くなりました。今後少しでも地域医療に貢献できるよう日々の研修に引き続き励みたいと思います。このような貴重な研修の機会を頂き、誠にありがとうございました。」
当院での経験がこれからの先生方のお役に立てば何よりです。
ご活躍をお祈りいたします。
(写真撮影時のみマスクを外しています)